コラム
Column調光フィルムとは何? 仕組みをわかりやすく解説
2024.10
調光フィルムは、電源のオン・オフで透明度を切り替えられる特殊なフィルムで、プライバシーの確保やデザイン性の向上が期待できる技術です。オフィスや商業施設をはじめ、さまざまな場所で利用されており、従来のカーテンやブラインドに代わる選択肢として注目を集めています。
本記事では、そんな調光フィルムの特徴や仕組みを詳しく解説します。また、調光ガラスのメリット・デメリットについても触れているので、ぜひ参考にしてください。
調光フィルムとは
はじめに、調光フィルムの概要や活用シーン、特徴を紹介します。
調光フィルムとは?
調光フィルムとは、電源のオン・オフによって透明・不透明を瞬時に切り替えられるフィルムです。
英語ではPolymer Dispersed Liquid Crystal(PDLC)と呼ばれ、主にオフィスや住宅、商業施設などで、ブラインドやカーテンの代替として活用されています。
プライバシーを守りつつ、必要な時には透明にすることで視界を確保できるのが特徴です。
また、会議室やショーウインドウではスクリーンとして映像投影にも使用でき、多様なシーンで活躍します。
<活用シーン>
調光フィルムは、企業や店舗のパーテーション、役員室、会議室などで広く活用されています。
必要に応じて視界を確保できるほか、プライバシーを守るために不透明に切り替えることができ、工場の見学通路や医療施設にも最適です。
また、病院やクリニックでは、患者のプライバシー保護や機密性の確保に活用されることが多く、快適な空間づくりに貢献しています。
調光フィルムの特徴
<大きさや形状の自由度が高い>
調光フィルムは、設置場所に合わせて縦横ミリ単位でカットできるため、さまざまな形状に対応します。
加工しやすく、エッジが割れにくい性質をもっており、部分的な貼り付けや穴あけなどの細かな加工も容易です。
また、企業ロゴやメッセージを入れたデザイン性の高いフィルムも作成でき、受付やエントランスに設置することで、企業のイメージ向上にも貢献します。
<瞬時に透明/不透明を切り替えられる>
調光フィルムは、電流を流すとフィルム内の液晶が整列し、0.1秒以下のスピードで透明状態に変わります。
電流を止めると液晶が散乱し不透明な状態に戻るため、スイッチ1つで瞬時に透明・不透明を切り替えることが可能です。
オフィスや会議室などでの急な状況の変化にも素早く対応し、視界を制御する必要性に応じて一瞬でコントロールできます。
<UVカット効果があるものもある>
調光フィルムの中には、紫外線をカットする効果をもつものもあります。
これにより、オフィスや事務所の窓から入り込む紫外線を遮断し、皮膚の老化や白内障などの健康リスクを軽減するだけでなく、家具や床材の色褪せや劣化を防ぐことが可能です。
また、強い日差しの日にフィルムを不透明にすることで、眩しさや室内温度の上昇も抑えられます。
<モード選択ができるタイプもある>
調光フィルムの中には、モードを選択できるタイプもあります。
一般的な「ノーマルモード」は、電源を入れると透明、切ると不透明になりますが、「リバースモード」はその逆で、電源オフの時に透明になるため、普段は透明な状態を保ちたい場合に最適です。
リバースモードは、節電になることや停電時にも内側の様子を確認できるというメリットがあります。また、グレーなどの色を選べる商品もあり、使用環境に合わせた調整が可能です。
<透明度がコントロールできるタイプもある>
調光フィルムは、電気の力で透明度を自在に調整できることが特徴です。スイッチをオンにすると透明になり、オフにすると不透明になるものや、逆に電源を切ることで透明状態になるタイプもあります。
セキュリティやプライバシーを重視する場合は、電源を切った状態で不透明にできるタイプが最適です。
一方、必要な時以外は透明な状態を保ちたい場合、電源を入れることで不透明にできるタイプが適しており、
節電にも役立ちます。
調光フィルムの仕組み
ここからは、透明と不透明を瞬時に切り替える調光フィルムの仕組みについて解説します。
透明/不透明に切り替わる仕組み
調光フィルムは、電圧の変化によって透明と不透明を瞬時に切り替える技術です。電気が通っていない状態では、フィルム内の液晶分子はバラバラに向いており、光が散乱するためフィルムが不透明になります。
一方、電圧をかけると液晶分子が整列し、光がフィルムを通過して透明に変わる仕組みです。この仕組みにより、スイッチ操作で簡単に視界をコントロールできます。
PDLC以外の調光フィルム
<エレクトロクロミック方式>
エレクトロクロミック方式は、窓ガラスなどに採用される技術で、弱い電流を流すことでガラスの色や透明度を調整します。
2枚の薄いガラスの間にエレクトロクロミックゲルを挟み、電流を流すことで可視光の透過率を変化させ、窓を暗くすることが可能です。
ボーイング747の窓ガラスなどにも使用されており、電気を利用して光の透過をコントロールする先進的な技術として知られています。
<PNLC方式>
PNLC方式は、電源オフ時に透明、オン時に不透明になるリバースタイプの調光フィルムです。
オフィスや店舗の窓など、透明な状態での使用が多い場所に適しており、停電時でも透明な状態を保つため、安全面でも利便性があります。
透明時に電力を消費することがなく、電気代の節約にもつながりますが、ノーマルタイプに比べて価格が高くなる傾向があり、導入前にコストを考慮することが必要です。
<SPD方式>
SPD方式は、導電膜の間に電子ナノ粒子を塗布し、電圧によってその粒子の配置を変えることで光の透過率を調整する調光フィルムです。
電圧を加えることで光が透過し、電圧の強さに応じて透過率を段階的に変化させます。
車両の窓やサンルーフなどでの活用が期待され、日光の遮断やプライバシー保護に役立つ技術です。
透明/不透明の制御方法の種類
<スイッチによる制御方法>
透明・不透明の切り替えで最も一般的なのは、スイッチによる制御方法です。
部屋の照明のように、壁に埋め込まれたシンプルなスイッチで操作でき、手軽に透明度を変更できます。
また、専用のコントローラーやリモコンを使って遠隔から透明度を調整するなど、フィルムの種類や設置環境に応じて、最適な制御方法を選ぶことも可能です。
<センサーと組み合わせた制御方法>
センサーと組み合わせた制御方法では、自動的に透明・不透明を切り替えることが可能です。
たとえば、直射日光が当たるとセンサーが反応し、フィルムが自動的に不透明になるシステムがあります。
これにより、商品の鮮度や退色を防ぐことができ、リモコン操作の手間も不要です。特定の環境や条件に応じて自動的にフィルムを調整できます。
調光ガラスのメリット・デメリット
調光ガラスは、調光フィルムと同じ仕組みをもつガラスです。最後に調光ガラスのメリットとデメリットも紹介します。
調光ガラスのメリット
<プライバシーの保護につながる>
調光ガラスを会議室や診察室などで使用すれば、ガラスの透明・不透明を瞬時に切り替えることで、必要な時に外からの視線を遮ることができます。調光ガラスによって、個人情報や機密情報の保護がしやすくなり、集中した環境を保つことが可能です。
ガラスの透明感を活かしつつ、プライバシーを確保できるため、オフィスや医療施設などで幅広く活用されています。
<一般的なガラスに比べて安全性が高い>
調光ガラスには特殊なフィルムが挟まれており、万が一ガラスが割れてもガラス片が飛び散らず、周囲への被害を防ぐ設計になっています。そのため、地震や衝突などで割れた際にも、一般的なガラスと比べて安全性が高く、破片による怪我のリスクを軽減することが可能です。
また、外部からの侵入を防ぐためのセキュリティ対策としても有効で、建物の安全性向上に貢献します。
<スクリーン代わりに利用できる>
調光ガラスは、不透明な状態を活かしてスクリーンとしても利用可能です。ガラスを不透明にすることで、映像を投影しやすい白い壁のようになり、会議室やショールームでプレゼンテーションやプロジェクションマッピングに活用できます。
また、プロジェクターの設置スペースが不要なため、狭い空間でも効率的に映像を表示できることもメリットです。外部の光の影響を受けにくく、コントラストの高い鮮明な映像も投影できます。
調光ガラスのデメリット
<施工費用がかかる>
調光ガラスは、電気のオン・オフで透明・不透明を切り替えるため、通常の窓ガラスのようにガラスの設置費用だけではなく、電気工事の費用もかかります。
フィルム材料費や電源コントローラー機器代、配線施工費などが発生し、設置面積や工事内容によってコストが変動します。
そのため、導入前には費用対効果を十分に検討し、専門業者に詳細な見積もりを依頼することが大切です。
<取付や修理は専門業者への依頼が必要>
調光ガラスは、一般の窓ガラスと異なり電気を利用して透明度を制御するため、設置や修理には専門知識が求められます。
自力での取り付けや修理は推奨されておらず、適切な機能を発揮させるには、専門業者へ依頼しなければなりません。
導入時や故障時には設置費用や修理費用が別途かかることを考慮し、事前に見積もりやスケジュールを確認して、余裕をもった準備をすることが大切です。
まとめ
調光フィルムは、プライバシーの保護や視界の調整ができる便利な製品です。
導入を検討する際は、製品によって特徴が異なるため、メリットとデメリットをしっかりと理解し、使用環境に合った選択をしましょう。
電源のオン・オフのみで簡単に透明・不透明を選べる調光フィルムの便利な技術を活用し、より快適で機能的な空間づくりにぜひ役立ててください。
※本製品の仕様は、上記の特徴とは異なります。
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