コラム
Columnデジタルサイネージを支えるSTBの役割、種類、選定ポイント、そして未来
2025.03
デジタルサイネージは、今や街中のあらゆる場所で目にするようになりました。
駅や商業施設の広告ディスプレイ、公共施設の案内板、飲食店のメニュー表示など、その用途は多岐に渡ります。
このデジタルサイネージを陰ながら支えているのが STBです。
この記事では、デジタルサイネージにおけるSTBの役割、種類、選定のポイント、そして最新動向から今後の展望までを
詳しく解説していきます。
デジタルサイネージのSTB
デジタルサイネージのSTBとは、「Set Top Box(セットトップボックス)」の略称であり、ディスプレイに表示する動画や
画像・テキスト等のコンテンツを再生・制御するために必要なシステム機器のことです。
コンテンツはインターネットやローカルネットワーク、USBメモリなどを通じてSTBに送信され、ディスプレイと接続することで、画面上にコンテンツを表示することができます。
また、ネットワークを経由することで、複数のディスプレイに対して遠隔でコンテンツを一括管理・運用することも可能になります。
STBの役割と機能
デジタルサイネージのSTBは、インターネットを通じてコンテンツを受信・表示する他にも以下の役割や機能を担っています。
STBの役割
コンテンツの表示と管理
デジタルサイネージのSTBは、ディスプレイに広告、情報、案内などを流すために必要なデータを受信し、それを映像として表示する「放映用プレイヤー」が主な役割です。デジタルサイネージに表示できるコンテンツは、動画や静止画に限らず、Webサイトや外部プロバイダーが提供するニュースや天気など多岐にわたります。
また近年では、テレビなどの放映端末に接続するだけで動画配信サービスを受信し、ディスプレイで表示することもできるSTBも普及しており、その役割は広告媒体だけに留まりません。
STBの機能
<配信スケジュールに応じたコンテンツの制御・管理>
STBは、コンテンツを表示する時間帯や曜日に基づいてスケジュールを設定できる機能を持っています。
そのため一度スケジュールを設定すれば、あらかじめ設定した配信スケジュールに従ってディスプレイにコンテンツを放映することができ、管理の負担軽減やターゲットに合わせた運用ができます。
例えば、飲食店においては、昼間のランチタイムでお得なセール情報や広告を表示し、それ以外の時間はメニュー表に切り替える、といった柔軟な運用が見込めます。
<遠隔管理と更新>
デジタルサイネージのシステムは、複数のディスプレイやSTBを一元的に管理することができる他、ネットワークに接続することで管理者がリモートでコンテンツを更新したり、配信スケジュールを変更したりすることができます。
これにより、例えば全国の店舗で同じ広告を一斉に配信し、緊急情報をリアルタイムで表示するということも期待できます。
<外部機器との連携>
一部のデジタルサイネージのSTBは、タッチパネルやセンサー、カメラなどの外部機器と連携することで、インタラクティブなコンテンツ表示を実現することができるものもあります。
これによりAIカメラを用いてユーザーの年代や性別に応じたオススメを表示したり、ディスプレイに触れることで特殊な演出や情報表示をさせたりなど画期的なインタラクティブ体験を提供できます。
デジタルサイネージSTBの種類
デジタルサイネージのSTBは、大きく分けて以下の3種類に分類されます。
スタンドアロン型
スタンドアロン型とは、インターネット接続がなくても運用できるSTBのことです。
USBメモリ・SDカードなどのローカルメディアをSTB本体に直接接続することで、ディプレイにコンテンツを放映することが
できるようになります。
コンテンツの変更や更新は手動で行う必要があるため、複数台の運用・更新を視野に入れた場合、管理面でのコストが増加するデメリットがあります。ただ、インターネットやクラウドサービスを利用しないため、低コストで導入できる他、ネットワーク障害が生じた際には影響を受けないというメリットもあります。
クラウド型
クラウド型とは、インターネット接続を活用して、コンテンツを管理・配信できるSTBのことです。コンテンツのアップデートや管理はクラウドを通じて行われるため、遠隔で複数のディスプレイに対して一括でコンテンツを配信・操作が可能です。
インターネットやクラウドサービスを介する分、月々の通信費や利用料金が発生するため、
ランニングコストがスタンドアロン型に比べて高くなりやすく、またインターネットに依存するため接続障害が発生した場合のリスクはありますが、コンテンツを一括で更新できる手軽さや運用における利便性が高いのは、クラウド型の強みといえるでしょう。
オンプレミス型
オンプレミス型とは、企業や施設内に設置されたローカルネットワーク(企業LANや構内LAN)内でコンテンツの管理・更新・表示を行うSTBのことです。
ネットワークやシステムなどが自社内(オンプレミス)で完結し、外部のクラウドサービスに依存しないため、
情報を社外ネットワークに出すことがなくセキュリティ面の安全性が高いです。
初期導入時にサーバーやネットワークインフラの構築が必要で、保守やメンテナンスも内部で行う必要があるため導入コストが高くなることがありますが、ネットワークを通じて外部へ情報漏洩する危険性が低いため機密情報を取り扱う場合でもセキュリティ面で安心できる他、外部のネットワークで通信障害等が発生した際には影響を受けないため、安定した運用が可能となる利点があるといえます。
STBを選ぶ際のポイント
デジタルサイネージのSTBを選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
使用用途に適しているか
デジタルサイネージのSTBは使用目的や設置環境に応じて、適したものを選ぶことが重要です。
例えば、再生するコンテンツ種類や再生時間、解像度等が対応しているか、外部機器との接続性やOSのバージョンアップに対応しているか、コンテンツの容量や更新頻度、運用方法によっても、適した機器は異なります。
最適な機器が分からない場合は、業者や専門家に相談してみるのも良いでしょう。
管理ソフトウェアの使いやすさ
STBを導入する際には、管理ソフトウェアの使いやすさも重要です。
特に、本体機器が日本製か海外製かによって技術仕様や対応規格、品質基準が異なってくるため、目的や使用環境、
予算に応じた機器を選択する必要があります。
日本製は、主に日本市場向けに最適化されて品質やサポートが充実しており、海外製はグローバルな視点での技術革新やコストパフォーマンス、柔軟性に優れているのが特徴です。
他にも、複数のSTBを運用する場合は、配信スケジュールの設定機能の有無、一元的な管理の可否を確認することが大切です。
そのため、Webベースの管理ツールや専用アプリケーションなどが備わっているものを選ぶのが望ましいです。
セキュリティ対策と保守サポート
STBはインターネットに接続することが多いため、外部からの不正アクセスやウイルスなどのリスクを考慮して、データの暗号化、VPN対応、セキュリティパッチの更新など、十分な対策を行うことが必要です。
また、予期せぬトラブルに備えて、サポート体制がしっかりしているメーカーのSTBを選ぶことも大切です。故障や不具合が発生した際に迅速に対応してくれるかどうかを確認しましょう。
デジタルサイネージSTBの最新動向
近年、デジタルサイネージSTBは、技術革新と市場の拡大により大きな変化を遂げています。主なポイントは以下の通りです。
高解像度対応の進化
最新のSTBは、4K Ultra HD解像度をサポートし、より高画質で臨場感のあるコンテンツ表示が可能になっています。
これにより、広告や情報の描画が大幅に向上し、視覚的な魅力が増しています。
高速インターネット接続の活用
現代のSTBは、高速インターネット接続を活用し、リアルタイムでのコンテンツ更新やストリーミングを可能にしています。
これにより、デジタルサイネージは常に最新の情報を提供し続けることができます。
インタラクティブ機能の統合
タッチ機能や音声認識など、インタラクティブな機能を統合することで、ユーザーはデジタルコンテンツと対話するように機器を操作することができ、より直感的で分かりやすい情報伝達が可能となっています。
AIとの統合によるパーソナライズ
AIの搭載により、STBは視聴者の行動や好みを分析し、パーソナライズ化されたコンテンツを自動的に提供することが可能になりました。これにより、視聴者と関連性の高い広告や情報を表示し、効果をより向上させています。
クラウドベースの管理システム
クラウドベースの管理システムを採用することで、リモートでのコンテンツ配信やシステム管理が容易になり、より運用の効率性や柔軟性が向上しています。
これらの進展により、デジタルサイネージのSTBは、より高品質でインタラクティブなコンテンツ配信を実現し、
広告や情報提供の方法を革新しています。
デジタルサイネージSTBの課題と今後の展望
デジタルサイネージにおけるSTBは、多くの利点を提供し、より多様な用途で活用されていくことが期待されますが、
同時に以下の様な課題も存在します。
デジタルサイネージSTBの課題
1. コスト
STBの導入には一定の初期投資が必要であり、特に4K対応、AI機能搭載などの高機能なSTBは高価になります。
また、クラウド型STBを使用する場合、本体費用の他にインターネットの通信費やクラウド利用料がかかるため、
導入費用に加えて運用のランニングコストが負担になることあります。
2. 互換性と統合の問題
古い機器との互換性がない場合、システム全体を再構築する必要が出てくることがあり、
STBとの互換性が課題となることがあります。
また、異なるソフトウェアやハードウェアとの統合が複雑で、管理が困難になることもあります。
3. ネットワークの安定性
クラウド型デジタルサイネージは、リアルタイムでのコンテンツ更新やストリーミングを必要としますが、インターネット接続の速度や安定性が低い場所では、コンテンツの遅延や断続的な接続切れなどの問題が発生することがあります。ネットワーク環境が不安定だと運用に支障が出てしまうこともあるため、運用の際にはネットワーク環境の安定性が必要となります。
4. セキュリティのリスク
STBはインターネット接続を利用してコンテンツを受信するため、不正アクセスやウイルスソフトの感染などが発生すると、
表示されるコンテンツが改ざんされる可能性があります。そのためサービスを提供する管理者から適切に運用されていることをご確認ください。
デジタルサイネージSTBの今後の展望
1. 高速通信技術の活用
5G通信の普及により、STBはより高速で安定したデータ通信が可能となり、リアルタイム性が向上します。
これにより、即時性が求められるコンテンツ配信やインタラクティブな体験が一層強化されるでしょう。
2. クラウド型管理システムの普及
クラウド型デジタルサイネージの導入が進み、STBはクラウド型管理システムと連携し、
コンテンツの一括管理や更新を効率的に行えるようになります。
これにより、運用コストの削減と柔軟なコンテンツ配信が可能となります。
3. 高解像度・高品質なコンテンツの提供
4Kや8Kなどの高解像度のコンテンツ需要が高まり、STBは高品質な映像をスムーズに表示できる性能が求められます。
これにより、視覚的なインパクトを強化し、視聴者のエンゲージメントを高めることが期待されます。
4. 市場の拡大と多様化
デジタルサイネージ市場は急速に拡大しており、それに伴ってSTBの需要も増加しています。
今後は公共施設や交通機関、商業施設など、多種多様な場所での導入が進み、
この傾向は今後も増加し続けると予測されています。
これらの動向により、デジタルサイネージのSTBは、より高度で多機能なデバイスへと進化し、
広告や情報提供の方法を革新し続けるでしょう。
まとめ
デジタルサイネージSTBは、インターネットやローカルネットワーク、USBメモリなどの外部メディアを通じてディプレイに
動画や静止画、Webページなどの様々なコンテンツを表示することができるデジタルサイネージの運用に欠かせない存在です。
STBによって多様な機能と種類があり、機器を選定する際には用途や目的に合わせて最適なものを選ぶことが重要となります。
近年では、4K・8Kに対応した高画質化やセンサーやカメラなどの外部機器と連携したインタラクティブ化、AIの活用など、
技術的な進歩を続けており、デジタルサイネージの表現力や可能性をさらに広げています。
今後も、低コスト化やセキュリティ対策、運用管理の効率化などの課題を解決しながら、
デジタルサイネージの更なる発展に貢献し、様々な産業や日常生活に大きな影響を与えていくことが期待されます。
デジタルサイネージプレイヤーのSTBをお探しの場合は、当社のCloudExaがおすすめです。
放映システムに関するご相談は、お気軽にクラウドポイントまでご連絡ください。
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